■原因
最大の原因は喫煙であり、喫煙者の15~20%がCOPDを発症すると言われています。タバコの煙を吸入することで肺の中の気管支に炎症がおきて、咳や痰が出たり、気管支が細くなることによって空気の流れが低下するといわれています。
また、気管支が枝分かれした奥にあるぶどうの房状の小さな袋である肺胞が破壊されて、肺気腫という状態になると、酸素の取り込みや二酸化炭素を排出する機能が低下します。COPDではこれらの変化が併存していると考えられており、治療によっても元に戻ることはないといわれています。
■主な症状
一般的に歩行時や階段昇降など、身体を動かした時に息切れを感じる労作時呼吸困難や慢性のせきやたんが特徴的な症状です。一部では、喘鳴や発作性呼吸困難などぜんそくの様な症状を合併する場合もあります。
■診断方法
長期の喫煙歴があり慢性的に咳や痰、労作時の呼吸困難があればCOPDが疑われます。COPDが疑われたら、次のような検査を行い確定診断と重症度の評価が行われます。
①呼吸困難症状の評価
②胸部X線撮影
③胸部CT(コンピューター断層写真)
④呼吸機能検査・・・閉塞性換気障害があるか
⑤血中酸素飽和度、動脈血ガス分析
※動脈血ガス分析…血液中に含まれる酸素や二酸化炭素の量、あるいは pH を測定する検査
※閉塞性換気障害…肺が二酸化炭素を吐き出しにくくなること
■治療方法など
一般な治療法には、以下のようなものがあります。
①禁煙
②治療気管支拡張薬
③ステロイド薬
中等症以上のCOPDは全身的副作用の少ない吸入ステロイド薬の吸入を併用することがあります。COPDの増悪に対しては経口・注射などの全身的投与も行うこともあります。
④酸素療法
COPD患者に対する長期在宅酸素療法は、低酸素血症を改善して寿命を延ばし、肺高血圧(肺の中の血圧が高くなった状態)や肺性心( 肺高血圧症 で右心室に拡大と肥厚が起きた状態)の進行を阻止し、うつ傾向など精神神経の機能障害を改善し、入院治療を減らす効果があるとされています。
⑤呼吸リハビリテーション:
口すぼめ呼吸、腹式呼吸などの呼吸リハビリテーションを行います。
⑥栄養管理
COPD患者の呼吸筋力の低下を防ぐため十分なたんぱく質を含む食品を積極的に摂るようにします。 肺性心があるときは、食事の塩分を7~8g以下に制限する必要があります。
⑦感染症予防
呼吸器感染症(特にインフルエンザ感染、肺炎球菌感染)は、COPDを急性増悪させるので、高齢者の場合には感染予防のため肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンの接種が勧められています。
■お勧め運動メニュー
有酸素運動をはじめとしたウォ―キングや自転車エルゴメーターなどの運動があります。息切れの程度が「ややきつい~きつい」くらいが運動の目安といわれています。
少し動くだけで息切れが起こり、長時間歩けないという方は、呼吸訓練として口すぼめ呼吸を合わせて行うと良いといわれています。口すぼめ呼吸は、息を吐きだす際に口をすぼめて20cm先のろうそくの火をそーっと吹き消すように息を吐く呼吸法です。ポイントとして息を長く吐く事よりも、吐く息の軽い抵抗感に集中することが大切です。
歩行の際は、動作前に息を吸い、息を吐きながら4歩歩いて、次の2歩で息を吸う等の楽な呼吸のリズムをつかむことが大切です。適度な伸張痛を感じる程度のストレッチが有効とされています。肩回り・胸回りの柔軟性を改善する事で、肺を包んでいる肋骨をはじめとした胸郭が広がりやすくなり、楽に呼吸をすることができるようになります。
※本記事はこちらの資料を参考に作成しています。