■原因
女性ホルモン(エストロゲン)の分泌期間が長くなることにより乳がんが発生するリスクが高くなるといわれています。
具体的には、初経年齢が早い・閉経年齢が遅い・出産歴がない・初産年齢が遅い・授乳歴がない・閉経後の肥満・飲酒習慣・一親等の乳がんの家族歴・良性乳腺疾患の既往歴があることなどが挙げられます。
■主な症状
【主な症状】
乳房のしこり、乳房にえくぼやただれができる、左右の乳房の形が非対照になる、乳頭から分泌物が出る、などがあるといわれています。
【手術後の合併症】
①腕や肩を動かしにくい
治療した側の腕があがりにくい、腕を回しにくい、腕がだるい、痛む、痺れる、脇の皮膚が突っ張るなどの症状がみられることがあります。リンパ節や脂肪組織、皮膚、筋肉など切除した範囲が大きいとこれらの症状が起こりやすくなるといわれています。
②リンパ浮腫が起きる
リンパ節郭清やリンパ節に放射線治療を行った後に、腕や手が浮腫むことがあります。リンパ浮腫はいったん起きると治りづらいといわれています。
■診断方法
一般的な検査には、以下のようなものがあります。
①視診
えくぼやただれの有無、乳房の形の左右の差、乳頭からの分泌物の有無を観察します。
②触診
指で乳房から脇の下を触って、しこりの有無や大きさ、硬さ、動き方などを確認します。
③マンモグラフィ
病変の位置や広がりを調べるために行う乳房専用のX線検査です。乳腺の重なりを少なくするために、2枚の板の間に乳房を挟んで圧迫し、薄く伸ばして撮影します。
④超音波(エコー)検査
乳房内の病変の有無、しこりの性状や大きさ、脇の下など周囲のリンパ節への転移の有無を調べます。
⑤病理検査
病変の一部を採取して顕微鏡で調べ、確定診断するための検査です。
⑥CT検査・MRI検査など
手術や放射線治療などを検討するときに行ったり、病変の広がりや転移の有無を調べるために行うことがあります。
■治療方法など
1.遠隔転移していることが明らかな場合を除き、がんを手術によって切除することが中心とされています。
【乳房部分切除術(乳房温存手術)】
乳房の一部を切除する手術方法です。がんを確実に切除し、美容的に満足できる乳房を残すことを目的に行われています。術後に放射線照射を行い、残された乳房の中での再発を防ぐのが一般的です。
【乳房全切除術】
乳房をすべて切除する手術方法です。乳がんが広範囲に広がっている場合や、多発性(複数のしこりが離れた場所に存在する)の場合に行われます。
【センチネルリンパ節生検】
術前の検査でリンパ節に転移を認めない場合に行われます。手術中にセンチネルリンパ節のみを摘出し、転移の有無を確認します。
【腋窩リンパ節郭清】
リンパ節にがんが転移していると診断された場合に、リンパ節を切除する手術を行うことがあります。
放射線治療手術の後には、原則として残った乳房の組織に対して行うとされています。1日1回、週5回で約4〜6週間かけて照射するのが一般的です。
2.放射線治療
乳癌の手術後の再発予防の目的または転移した病変に対する症状改善を目的に1日1回、週5回で約4〜6週間かけて照射するのが一般的です。
3.薬物療法
再発の危険性を下げる、手術前にがんを小さくする、手術が困難な進行がんや再発に対して延命や症状を緩和するなどの目的で行われています。
【ホルモン療法薬】
ホルモンを利用して増殖するタイプのがんを攻撃する薬です。
【分子標的薬】
がんの増殖に関わるタンパク質や、栄養を運ぶ血管などを標的にしてがんを攻撃する薬です。
【細胞障害性抗がん薬】
細胞の増殖の一部を邪魔することでがん細胞を攻撃する薬です。
■お勧め運動メニュー
※本記事はこちらの資料を参考に作成しています。