■原因
発症の原因は正確にはよくわかっていませんが、統合失調症になりやすい要因をいくつかもっている人が、仕事や人間関係のストレス、就職や結婚など人生の転機で感じる緊張などがきっかけとなり発症するのではないかと考えられています。
■主な症状
【陽性症状】
・幻覚…視覚や聴覚、嗅覚、触覚などさまざまな感覚で現れるとされています。
・妄想…非現実的なことやあり得ないことなどを信じ込むことを指します。
・思考障害…思考が混乱し、考え方に一貫性がなくなります。会話に脈絡がなくなり、何を話しているのかわからなくなることもあります。
・行動の異常…極度に興奮したり、奇妙な行動をとることがあります。
【陰性症状】
・感情の鈍麻や平板化…喜怒哀楽の表現が乏しくなります。(例:他人と視線を合わせない、動きのない表情など)
・意欲や気力の低下…自発的に何かを行おうとする意欲がなくなったり、始めたことを継続することが難しくなります。
・思考の低下…会話で比喩などの抽象的な言い回しが使えなかったり、理解できなかったりします。
・自閉的…自分の世界に閉じこもり、他者とのコミュニケーションをとらなくなります。
【認知機能障害】
記憶力低下、集中力の低下、判断力低下などがあります。
病気の経過は、4段階に分けられます。一般的に、急性期は数週間単位、休息期は数週間〜数カ月単位、回復期は数カ月〜数年単位で経過するとされています。
<前兆期>不眠、物音や光に敏感になったり、焦りの気持ちが強くなったりする時期です。
<急性期>不安や緊張感、敏感さが極度に強まり、幻覚、妄想、興奮などの陽性症状が目立つ時期です。
<休息期>感情の起伏が乏しくなり、無気力で何もしなくなるなどの陰性症状が目立つ時期です。
<回復期>徐々に症状が治まるが、認知機能障害が現れることもあります。
■診断方法
1.本人および家族への詳細な問診が診断のベースとなっています。
・どのような症状が現れたか
・症状はいつから始まったか
・症状がどのように経過したか
・社会・生活にどの程度の支障がみられるか
この他にも、生育歴、既往歴、家族歴などの情報を基にするのが一般的です。
2.診断基準に基づいた診断
WHOの国際疾病分類である「ICD-10」と、米国精神医学会の「DSM-5」の2つが主に使われています。これらの診断基準では、統合失調症にみられる症状を記述した診断項目を多数あげて、それらに当てはまる項目がいくつあるかによって決めるようになっています。
■治療方法など
【急性期】
一般的に、薬物療法を中心に症状を抑えることが優先されます。
・抗精神病薬…治療の中心となる薬で、主として脳内のドーパミン神経の活動を抑えることにより、幻覚や妄想、思考障害や行動の異常などを改善し、また再発を防ぐ効果があるとされています。
【慢性期】
薬物療法+心理社会的療法(デイケア、作業療法、生活技能訓練、心理教育など)を行う時期を指します。症状の改善に伴って薬の量を慎重に減らしていくのが一般的です。
【維持期】
慢性期において薬の量を徐々に減らしていき、症状が落ち着いたあるところで維持量を決めて、以後は再発予防の為の服薬を行うのが一般的です。服薬を中断すると、1〜2年以内に80〜90%が再発すると言われています。
※以下の薬は症状の調整に使用される場合があります。
・抗不安薬…強い不安感や緊張感を和らげるために使います。
・睡眠薬(睡眠導入薬)…よく眠れない、寝つきが悪い、早朝に目が覚めてしまうなどの症状がある場合に使います。
・抗うつ薬…うつ症状を呈する場合に、憂うつな気分を和らげ、意欲を高めるために使う場合があります。
・抗パーキンソン病薬…抗精神病薬によってドーパミンの働きが過剰に抑制されることにより生じる、手がふるえる、体がこわばる、足がむずむずするなどのパーキンソン病様の症状を和らげるために使うことがあります。
■お勧め運動メニュー
※本記事はこちらの資料を参考に作成しています。