■原因
一般的に血圧が高くなる原因は、肥満、塩分の摂り過ぎ、ストレスや喫煙などです。こうした生活習慣とは別に、遺伝等が高血圧に関係することは確かですが、高血圧症そのものが遺伝するのではなく、高血圧症になりやすい体質が遺伝すると考えられています。
①肥満・・・大きな体の隅々まで血液をいきわたらせる必要があり、一度に血液を送り出す量が増加するため血圧が上がるといわれています。
②塩分の取りすぎ・・・血液中の塩分濃度が高くなります。濃度を下げるために水分を体に溜め込み、その結果血液量が増えるため血圧が上がるとされています。
③ストレス・・・交感神経の働きが高まることで心拍数が上がるなどした結果、血圧が上がるといわれています。
④喫煙・・・末梢血管の収縮するため血圧が上がるといわれています。
■主な症状
高血圧症はサイレントキラー(静かなる殺人者)と呼ばれ、ほとんどの場合、これといった自覚症状がないといわれています。
血圧がかなり高いときは、頭痛、めまい、肩こりなどが起きやすくなりますが、高血圧が原因かどうか言い切れない場合が多いといわれています。
また、脳や腎臓、目の網膜は高血圧の影響を受けやすいと考えられています。血液を送り出す際に負担がかかる心臓も、高血圧の合併症が現れやすい臓器です。脳梗塞、腎不全、眼底出血、心不全などを引き起こす危険性が高いといわれています。
■診断方法
一般的に、以下のようなもので高血圧症と診断していきます。
・血圧はいつも高いか(140/90mmHg以上か)
・高血圧の原因は本態性高血圧(原因が特定できない場合)なのか二次性高血圧(血圧の上昇の原因が明らかな場合)なのか
・高血圧による臓器障害(心肥大、たんぱく尿など)の有無
・心臓血管系の合併症があるか
・他の危険因子(糖尿病、高脂血症、喫煙など)の有無やその程度
・循環器病以外の病気は合併がないか
■治療方法など
食事療法や運動療法などの生活習慣の改善が高血圧の予防や治療につながるといわれています。
【食事療法】
一般的に、以下のようなものに気を付けると良いといわれています。
・塩分摂取量を1日6グラム程度まで減らします。(梅干1個、たくあん3切れで塩分2g相当といわれています。)
・コレステロールや飽和脂肪酸の多い食品を控えます。
・野菜や果物を積極的に摂取します。
・魚をできるだけ摂取します。
・節酒(1日の摂取量はおおよそビールで中瓶1本、清酒で1合までが目安とされています。)
【運動療法】
手足の大きな筋肉が収縮・弛緩を繰り返す全身運動(例:歩行・ジョギング・自転車・ゆっくりとした水泳など)が効果的だといわれています。
【その他】
・禁煙…喫煙は動脈硬化を進行させ、高血圧につながってしまうので禁煙が効果的だといわれています。
・ストレスの緩和…リラックスすることで交感神経の緊張状態がとれて血圧が下がるといわれています。
【薬物療法】
食事療法や運動療法をきちんと行っていても血圧の下がり具合が十分でない場合に行うのが一般的です。
①ACE阻害薬
血圧を上げる働きを持つ血中のレニン・アンジオテンシン(RA)系を抑制して血圧を下げます。冠動脈疾患の発症リスクを抑えるということがわかっています。
作用する過程で、体内で増えるブラジキニンという物質による空咳がみられることがあります。
②カルシウム拮抗薬
血管を拡げて血圧を下げる作用があります。主な副作用として動悸、頭痛、ほてり感、浮腫、歯肉増生や便秘などあります。
また、グレープフルーツを併用してしまうと、血圧が下がりすぎてしまうことがあるので注意が必要とされています。
③ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)
血管の収縮を抑えることで血圧を下げる働きがあります。長期的に腎機能の悪化を抑えるといわれています。妊娠中・授乳中の場合は服用できないとされています。
④利尿薬
利尿薬は塩分を尿からの排泄を促し、血圧を下げる薬です。
主な副作用として、低ナトリウム血症、低カリウム血症などの電解質異常、耐糖能低下、高尿酸血症などの代謝系への影響がみられることがあります。
⑤β遮断薬
血管を拡げ、昇圧系を抑え、心拍出量(心臓から血液が送り出される量)を抑えることで血圧を下げます。喘息がある場合には、服用することができないとされています。
■お勧め運動メニュー
※本記事はこちらの資料を参考に作成しています。