■原因
最大の危険因子は喫煙といわれています。たばこに含まれる発がん物質は尿の中にも排出されます。尿がたまる膀胱の尿路上皮は、特にがんが発生しやすい部位とされています。
また、ゴム・皮革・織物・色素工場で使用するアニリン色素・ナフチラミン・ベンチジンといった化学物質を使用する職業にも発生率が高いといわれています。
■主な症状
主な症状には、血尿や頻尿、排尿時の痛み、残尿感、切迫した尿意などがあります。
特徴的な症状として、痛みなどのほかの症状を伴わない血尿があります。血尿には、尿の色が赤や茶色になってしまう肉眼で見える血尿と、顕微鏡で確認できる血尿があります。
更にがんが進行すると、尿が出にくくなったり、わき腹や腰、背中が痛んだり、足がむくんだりする場合もあります。
■診断方法
一般的に、以下のような検査を行います。
①尿検査
尿に血液やがん細胞が含まれているかどうかを確認する検査です。また、尿中の腫瘍マーカーの有無も確認します。
②超音波(エコー)検査
がんの位置や形、臓器の形や状態、周辺の臓器との関係などを確認するための検査です。
③膀胱鏡検査(内視鏡検査)
内視鏡を尿道から膀胱へ入れて、がんの有無やその場所、大きさ、数、形などを確認する検査です。多くの場合、膀胱がんであるかどうかは、膀胱鏡検査によってわかるといわれています。
④CT検査
がんの存在や広がりを見たり、リンパ節やほかの臓器への転移を確認したりするための検査です。
膀胱がんで行われるCT尿路造影(CTウログラフィー)は、腎盂・尿管・膀胱の尿路全体を3次元データの画像にして見ることができる検査で、膀胱のほかに上部尿路(腎盂と尿管)にがんがあるかどうかを調べます。
また、がんが膀胱の筋層に及んでいる可能性がある場合には、転移がないか確認するために全身のCT検査も行うことがあります。
⑤MRI検査
がんの存在や広がりを見たり、ほかの臓器への転移を確認したりするための検査です。
⑥骨シンチグラフィ
放射性物質を静脈から注射し、骨への転移の有無を調べる検査です。
⑦TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)
がんの進行の程度を調べる検査で、手術方法の1つでもあります。
■治療方法など
膀胱がんの大部分(約90%以上)は膀胱の内部を覆う尿路上皮にできる尿路上皮がんだといわれています。尿路上皮がんは、がんが膀胱の壁にどのくらい深くまで及んでいるか(深達度)によって、筋層非浸潤性がんと筋層浸潤性がんに分類されます。
【筋層非浸潤性膀胱がん】
膀胱の中に、細胞障害性抗がん薬やBCG(ウシ型弱毒結核菌)を注入する膀胱内注入療法を行うのが一般的です。
BCGなどの膀胱内注入療法に効果がみられなかった場合には、膀胱全摘除術を行うこともあります。
高リスクの筋層非浸潤性膀胱がんでは、2回目のTURBTを行うことがあります。
【筋層浸潤性膀胱がん】
転移がない筋層浸潤性膀胱がんの標準治療は膀胱全摘除術とされています。膀胱を摘出した場合、尿を体外に排出する経路をつくるために、尿路変更術が行われます。
高齢であったり合併症をもっていたりする場合には、TURBT・薬物療法・放射線治療などを組み合わせる膀胱温存療法を行うこともあります。
転移があるなどで、がんが進行している場合には薬物療法などを検討することもあります。
※TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)…
尿道から膀胱内に内視鏡を挿入し、がんを電気メスで切除する治療法で、検査も兼ねて行うことがあります。全身麻酔または腰椎麻酔をしてから行います。
筋層非浸潤性膀胱がんの場合、がんを切除できることもあります。術後の再発、筋層浸潤やリンパ節への転移などのリスクが高いと判断された場合や、筋層まで切除できず、筋層にがんがあるかどうか判断できなかった場合には、もう一度TURBTを行うことがあります。
■お勧め運動メニュー
※本記事はこちらの資料を参考に作成しています。