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病気辞典

うつ病(高齢者)

■原因

 

直接的な原因は正確にはよくわかっていないといわれています。
しかし、自身の退職、家族や友人などの病気や死、子どもの自立などの環境的な要因、体力の衰えや病気、加齢に伴う脳の機能の衰えなどの身体的な要因によって発症することが多いと考えられています。
 
また、がんや脳血管障害、認知症、パーキンソン病、糖尿病などの疾患はうつ病を併発しやすいことがわかっています。

 

 

■主な症状

 

高齢者のうつ病の特徴として、心の不調よりも体の不調を訴えることが多いといわれています。
 
【高齢者特有の症状】
①心気妄想:自分は不治の病にかかってしまったと思ってしまうことを指します。
②罪業妄想:周りに迷惑をかけているから詫びなければと思い込んでしまうことを指します。
③貧困妄想:お金があるのに、お金がなくて生きていけないと思い込んでしまうことを指します。
④不安や緊張:そのまま放置すると、自殺に繋がることがあるので注意が必要とされます。
 
【一般的なうつ病の症状】
①強いうつ気分・興味や喜びの喪失
②食欲の減退または増加:甘い物など特定の食べ物ばかりが欲しくなるなど食欲が亢進する場合もあります。
③睡眠障害
④強い焦燥感や精神運動の制止:話し方や動作が普段より遅くなるなどの精神運動の抑止や、じっと座っていられないほど強い焦燥感やイライラ感が起こる場合があります。
⑤疲れやすさや気力の減退
⑥思考力や集中力の低下:高齢者の場合には、認知症のようにみえる場合があるため注意が必要です。
⑦自殺への思い:一般的には、うつ病が少し良くなったときに自殺の危険性が高くなるといわれています。
 
 

■診断方法

 
高齢者のうつ病は、厳密にDSM診断基準※)を満たすことが少ないといわれています。
また、うつ病が疑われる場合でもほかの病気がないかどうかを調べることがあります。特に、うつ病を併発しやすい認知症や脳血管疾患、パーキンソン病などの有無を調べるためのに、以下の検査をすることがあります。
 
①CT検査やMRI検査
脳の断面図が得られる画像検査で、脳血管障害の有無を調べることが出来ます。
 
②脳血流シンチグラフィ
脳の血流状態を画像で見ることができます。認知症との判別のために行うことがあります。
 
③脳機能のチェック
医師が簡単な質問を行い、その答えでどのくらい認知機能が低下しているかを判断する検査です。
質問の内容は、名前や生年月日を尋ねるものや簡単な計算、記憶力を試すものなどがあり、認知症との判別のために行うことがあります。
 
これらの検査は、うつ病が原因で起こる仮性認知症(一過性の認知機能障害)の診断をするのにも役立つといわれています。仮性認知症は、認知症特有な記憶障害がなく、うつ病の治療をすれば改善される病気ですが、診断は専門医でも難しいといわれています。
 
 
※DSM診断基準…うつ病などの精神疾患や発達障害の診断の際に、症状が当てはまるかどうか判断する世界的な診断基準です。
 

 

■治療方法など

 

【薬物療法】
セロトニンやノルアドレナリンに作用する、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬などの抗うつ薬が主に使用されています。
 
一般的に、抗うつ薬は服用を開始してもすぐに効果が現れないといわれています。吐き気や眠気、めまい、頭痛などの副作用が先にでる場合があります。
効果が出ないからといって、自分で薬の量を増やしたり減らしたり中断したりせず、服薬を継続することが大切だどいわれています。
 
また、うつ病では様々な身体の症状も現れるので、その症状に応じた治療薬を併用することもあります。
 
【精神療法】
①支持的精神療法
医師やカウンセラーが悩みや不安をよく聞き、それを理解して支持していく治療法です。支持することによって、気持ちを楽にさせ、精神的に自立できるようにして回復させていくことを目的に行われます。
 
②精神分析法
不安や悩みの原因がどのようなものであるかを過去にさかのぼるなどして、心の内側から探っていく方法です。
 
③認知行動療法
なにか困ったことにぶつかった時に起こりがちな悲観的な物事の捉え方や考え方のくせを改善することで、マイナス思考がうつ状態を悪化させてしまうという悪循環を断ち切る方法を学ぶ精神療法です。
 
④対人関係療法
うつ病を引き起こす要因となった対人関係の問題を解消することで、ストレスを軽減させる目的で行われることがあります。
 
【休養・環境調整】
焦らずに十分な休養をとって、自分のできることを無理なくできる環境を作ることが回復への近道となるため、家庭などで受けるストレスを軽減できるように環境調整を行うことも大切だといわれています。
 
【運動療法】
散歩などの軽い有酸素運動がうつ症状を軽減させることが知られています。

 

 

■お勧め運動メニュー

 

 

 

 
 
 
 
※本記事はこちらの資料を参考に作成しています。

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