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病気辞典

子宮頸がん

■原因

 

ほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因であることがわかっています。このウイルスは性的接触により子宮頸部に感染します。
ヒトパピローマウイルスは男性にも女性にも感染するありふれたウイルスであり、性交経験のある女性の過半数は、一生に一度は感染機会があるといわれてています。
 
感染しても約90%の人は免疫の力でウイルスが自然に排除されますが、約10%の人でHPV感染が長期間持続します。このうち自然治癒しない一部の人は異形成とよばれる前がん病変を経て、数年以上をかけて子宮頸がんに進行することがあります。

 

 

■主な症状

 
異形成の時期(初期)では無症状のことが多く、おりものや出血、痛みがない場合がほとんどといわれています。
 
進行すると月経中以外や性交時に出血したり、濃い茶色や膿のようなおりものが増えたり、水っぽいおりものや粘液が多く出てきたりすることがあります。
 

さらに進行すると、下腹部や腰に痛み、尿や便に血が混じったりすることがあります。

 
 

■診断方法

 
一般的に、以下のような検査を行います。

①細胞診
ブラシなどで子宮頸部を擦って、採取した細胞をガラス板に固定し、それを色素で染めて顕微鏡で見る検査です。
 
②コルポスコープ診・組織診
細胞診で異常があった場合には、コルポスコープと呼ばれる拡大鏡を使って検査を行うことがあります。
子宮頸部を拡大して観察し、正常、異常、浸潤がん、評価不能などに分類します。そして疑わしい部分の組織を採取し(生検)、作成した病理組織標本を顕微鏡で観察して子宮頸がんや異形成などの確定診断を行います。
 
さらに必要があれば、子宮頸部を円錐状に切除して(円錐切除術)組織診断を行います。
 
③内診・直腸診
・内診:腟に指を入れ、もう片方の手は下腹部にあて、両方の手で挟みながら子宮の位置や形、かたさなどを調べます。
・直腸診:子宮傍組織への浸潤の程度、直腸やその周囲に異常がないかを、肛門から指をさし入れて調べることがあります。
 
④超音波(エコー)検査
腟の中から超音波をあてて子宮や卵巣の状態を観察したり、お腹の上から超音波をあてて、別の臓器やリンパ節への転移がないかなどを調べます。
 
⑤CT検査・MRI検査
治療前の子宮頸がんの広がりや、リンパ節や離れた臓器への転移などの診断に使います。
 
⑥PET検査
放射性フッ素を付加したブドウ糖液を注射し、がん細胞に取り込まれるブドウ糖の分布を撮影することで、がんの広がりを調べる検査です。
リンパ節や他の臓器への転移の有無、がんの再発の有無、治療の効果を調べるために使われることがあります。
 
⑦内視鏡検査
・膀胱鏡検査:尿道から膀胱へ内視鏡を挿入して、膀胱の中にがんが広がっていないか調べます。
・直腸鏡検査:肛門から内視鏡を挿入して、直腸の中にがんが広がっていないかを調べます。
 
⑧腫瘍マーカー検査
血液検査などで、がんの種類により特徴的に産生される物質を調べます。診断の補助、治療効果判定、再発の早期発見などに用いることがあります。
 

 

■治療方法など

 

一般的に、がんの進行期や年令や全身状態などによって治療法を決定します。いくつかの方法を組み合わせて治療を行うこともあります。
【外科的治療】
①子宮頸部円錐切除術
子宮頸部を円錐型に切り取る手術です。がんの深さや浸潤の程度を調べるために行われます。初期の病変であれば、検査と同時に治療として行われることもあります。
 
②単純子宮全摘術
子宮全体を摘出する手術です。
 
③準広汎広汎子宮全摘出術
がんの取り残しが起こらないように、単純子宮全摘出術よりも少し広めに子宮を切除する方法です。
子宮と一緒に、基靭帯(子宮を支えている子宮頸部の周囲にある組織)の一部と腟(2cm程度)を切除します。
 
④広汎子宮全摘術
がんを完全に取りきるために、準広汎子宮全摘出術よりもさらに子宮を広く切除する方法です。
子宮と一緒に基靭帯や腟(3〜4cm程度)と骨盤内のリンパ節も一緒に大きく切除します。がんを完全に取りきる可能性が高い手術である一方、リンパ浮腫、排尿のトラブル、性生活への影響などの合併症が一定の割合で起こる場合があります。
 
※上記の手術療法の副作用として、腸閉塞、更年期障害と同様の症状(卵巣欠落症状)などが起こる場合があります。
 
【放射線療法】
放射線を照射することにより、がん細胞を殺す治療法です。
①外照射:体の外から病変に放射線を照射します。一般的に、1日1回の治療を5~6週間かけて行います。
②腔内照射:子宮内に治療用器具を挿入し、子宮の中から放射線治療を行う方法です。一般的に週1回、計4回程度行います。
 
放射線治療の急性反応として、倦怠感や吐き気、照射された部位の皮膚炎、粘膜炎、直腸炎や膀胱炎などがありますが、治療終了後には自然に治っていくと言われています。
晩期合併症として、消化管からの出血や閉塞、穿孔、直腸腟ろう(直腸と腟がつながって腟から便が漏れる症状)などがあります。尿路の障害として、出血、感染や、膀胱尿管腟ろう(膀胱や尿管と腟がつながって腟から尿が漏れる症状)、その他に腟が狭くなったり、腟の壁同士がくっついたりすることなどがあります。
 
【化学療法】
がん細胞を殺す働きのある薬剤(抗がん剤)を一種類から数種類併用して投与します。投与方法は薬の種類によって異なり、点滴、経口剤としての内服や筋肉注射で投与することがあります。
化学療法は術後の補助療法としてのほか、子宮頸がんが子宮の外に拡がっている場合にも適応となります。
 
【薬物療法】
主に遠隔転移のある進行がんや再発した場合に行われます。
①細胞障害性抗がん薬
細胞の増殖の仕組みに注目して、その仕組みの一部を邪魔することでがん細胞を攻撃する薬です。がん以外の正常に増殖している細胞も影響を受けるといわれています。
主な副作用として、吐き気や嘔吐、脱毛、末梢神経障害(感覚低下、痛み)などがあります。
 
②分子標的薬
がん細胞の増殖に関わるタンパク質を標的にしてがんを攻撃する薬です
主な副作用として、傷が治りにくい、高血圧、タンパク尿、出血などがあります。

 

 

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※本記事はこちらの資料を参考に作成しています。

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