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病気辞典

てんかん

■原因

 

てんかんの原因にはさまざまあります。
原因が分からないてんかんもありますが、次のとおり大きく2つに分けられています。

【症候性てんかん】
生まれたときの仮死状態や低酸素、脳炎、髄膜炎、脳出血、脳梗塞、脳外傷など脳に何らかの障害や傷があることが原因で起こる場合があります。
 
【特発性てんかん】
さまざまな検査をしても異常が見つからない原因不明のてんかんのことを指します。てんかんのほとんどは遺伝しないといわれていますが、特発性てんかんは、体質遺伝性が強いと考えられています。
てんかんはさまざまな病状の集まりであり、てんかん自体が遺伝することは稀ですが、てんかんのある人の子どもにてんかんが発症する頻度は4~6%と一般の2~3倍といわれています。
 
 
てんかん発作は、脳の一部の神経細胞が突然、一時的に異常な電気活動(電気発射)を起こすことにより生じるといわれています。

 

 

■主な症状

 
てんかん発作は、部分発作(焦点発作)と全般発作に分けられます。
【部分発作(焦点発作)】
高齢者のてんかんは部分発作がほとんどだといわれています。
一般的に、脳の一部が興奮して起こる発作で、脳のどの部分に起こるのかによってはじめの症状が決まります。
さらに、発作中の意識の状態とけいれんへの移行によって次のように分けられています。
 
①単純部分発作
意識がはっきりしているなかで起こる発作をいいます。
発作中、どんな症状があったか覚えているこが多いといわれています。手足や顔がつっぱる、ねじれる、ガクガクとけいれんする、光や色が見える、人の声が聞こえる、片側の手や足のしびれ、吐き気をもよおすなどの症状あります。
 
②複雑部分発作
意識が遠のき、発作中のことを覚えていないことが多く、発作は通常1~3分続くといわれています。
単純部分発作から続くこともあれば、複雑部分発作から始まることもあります。
脳のどの部分が興奮するかによって、症状の現れ方が異なるいわれています。
 
よくいわれる症状として、ボーっとする、不注意、もうろう、無反応、奇異な行動があり、発作の後に意識がもうろうとした状態が数時間~数日続くことがあります。高齢者の発作で特に多いといわれています。
 
 
【全般発作】
一般的に、脳の大部分または全体が興奮して起こる発作を指します。発作時のほとんどが意識はないといわれています。
①強直間代発作
突然発症して、強直発作※)と間代発作※)を起こします。発作後は、自然睡眠(終末睡眠)と呼ばれる30分〜1時間くらいの眠りに移行することがありますが、その後は普段の生活に戻るといわれています。
 
※強直発作
突然意識を失い、口を固く食いしばり、呼吸が止まり、手足を伸ばした格好で全身を硬くしていきます。数秒〜数十秒間持続するのが一般的です。強直したまま激しく倒れ、けがをすることもあります。
 
※間代発作
膝などを折り曲げる格好をとり、手足をガクガクと一定のリズムで曲げたり伸ばしたりするけいれんが起こります。一般的には数十秒で終わりますが、1分以上続くこともあります。
 
②脱力発作
全身の筋肉の緊張が低下・消失するために、崩れるように倒れてしまう発作です。発作の持続時間は数秒以内と短く、発作と気づかれにくい場合もあります。
 
③欠神発作
数十秒間にわたり意識がなくなる発作ですが、けいれんを起こしたり、倒れたりはしません。話をしたり、何かをしているときに、突然意識がなくなるので、急に話が途切れたり動作が止まったりします。
注意力がない、集中できないなどと思われて、周囲の人がてんかん発作であることに気が付かないこともあります。学童期や就学前に症状が現れることが多く、女児に多い発作といわれています。
 
④ミオクロニー発作
全身あるいは手足などのどこか一部分の筋肉が一瞬ピクッと収縮する発作です。瞬間的な症状のため、自覚することが少ない発作ですが、連続して数回起こることもあります。
また、転倒したり、持っている物を投げ飛ばしてしまうほど症状が強いこともあります。光によって誘発されることもあり、寝起きや寝入りに起こりやすい傾向があります。

 
 

■診断方法

 
①問診
発作時の状況や脳の外傷やその他の病歴、過去の熱性けいれんの有無などが聞かれる場合があります。
 
②脳波検査
脳が活動すると、脳の中には微弱な電気が流れます。その電気的な変動を頭部につけた電極でとらえ、波形として記録し脳の働きを調べる検査です。発作症状が見られた時に、てんかん発作なのか、それ以外の原因なのかを鑑別したりします。
治療中では、選択された薬剤が有効性や脳波所見の改善はどの程度かを調べ、薬の量の変更が必要かどうかを検討したりします。
 
③長時間記録ビデオ脳波モニター検査
昼夜を通し、連続で脳波とビデオ撮影を同時に記録する検査です。実際の発作症状と発作時の脳波所見を観察できるといわれています。
 
④CT検査
脳の中に腫瘍や外傷、血管の異常による傷があるかどうかを確認します。てんかんの原因やてんかん以外でけいれんが起こっている可能性を確認するために行われます。
 
⑤MRI検査
てんかんが起こる焦点(てんかんの電気的な興奮が起こる場所)がどの部分にあり、そこがどのような状態になっているのか等について調べることができます。
 
⑥PET検査
脳の活動に必要なブドウ糖の代謝を調べることが出来るので、脳がどの程度機能しているかがわかる検査です。
 
⑦SPECT
脳の血流を調べることができます。発作と次の発作の間の血液の流れや糖・酸素の消費量を確認できます。
 
⑧血液・尿検査
てんかんの原因検索(低カルシウム血症などけいれんをおこしやすい状況がないかどうか)と、抗けいれん薬の血中濃度測定、副作用検索を目的とします。
 
⑨脳磁図検査
脳から発生する磁波を測定します。脳波と同様に脳活動を観察でき、手術適応を検討中の場合や脳波で診断が困難な場合に実施することがあります。

 

 

■治療方法など

 
一般的に、抗てんかん薬を毎日規則的に服用し発作を抑制していく薬物療法が第一選択とされています。
【薬物療法】
・抗てんかん薬
脳の神経細胞の電気的な興奮をおさえたり、興奮が他の神経細胞に伝っていかないようにすることで発作の症状をおさえる作用を待ちます。
治療にあたっては、①毎日規則正しく服用する②生活リズムを整えて暴飲暴食・睡眠不足を避ける③勝手に服薬を中断しないことが大切だといわれています。
 
【外科治療】
薬物療法で発作が抑制されない難治性てんかんに対して、外科手術による治療を検討する場合があります。発作消失を目指す根治手術と、発作が少しでも軽減することを目的とする緩和手術があります。
 
緩和手術の一つとして、電気刺激を出す小さな器機を体に埋め込んで、迷走神経(第10番目の脳神経で、内臓や運動神経を司る)を毎日、一定の間隔で刺激することにより、てんかん発作の回数を減らしたり、発作の程度を軽くする方法(迷走神経刺激療法)もあります。
 
【食事療法】
・ケトン食療法
高脂肪・低炭水化物食を行うことで、脂肪が分解されてケトン体が体内で作られます。ケトン体を脳のエネルギー源として使用している状態になると、てんかん発作が減少することがあります。
薬でなかなか良くならないてんかん発作や外科治療が実施できない、実施したれども効果が十分ではなかった方に場合に行うことがあります。

 

 

■お勧め運動メニュー

 

 

 

 
 
 
 
※本記事はこちらの資料を参考に作成しています。

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