■原因
嚥下の機能が低下して、本来なら食道から胃へと送られるものが誤って気道の一部である気管に入ってしまうことがあります。この時に、口の中の細菌が唾液や食べ物と一緒に誤嚥され、気管支や肺に入ることが直接的な原因だといわれています。
誤って気道に入りそうになった時に、咳反射で排出する力が弱ってくることも誤嚥を招き細菌が肺に入り込む原因のひとつといわれています。
嚥下機能の低下した高齢者や、脳梗塞後遺症やパーキンソン病などの神経疾患(喉の神経や筋肉が正常に働かず嚥下障害を来たす)を抱えている患者や寝たきりの患者に発症しやすいといわれています。
■主な症状
一般的には発熱、咳、膿のような痰がみられます。
しかしこれらの症状がなく、なんとなく元気がない、食欲がない、のどがゴロゴロと鳴る等の症状のみの場合が多いのが誤嚥性肺炎の特徴だといわれています。
■診断方法
一般的に、以下のような検査が行われています。
【誤嚥の検査】
①反復唾液嚥下テスト:唾液を30秒間繰り返し飲みこんでもらい、飲みこめているかを確認する検査です。
②水飲みテスト:冷水3ccを口腔内に入れて飲みこんでもらい、嚥下や呼吸状態やムセ込みの有無を確認する検査です。
③フードテスト:ティースプーン1杯程のプリンやゼリーを食べて、嚥下や呼吸状態やムセ込みの有無を確認する検査です。
④嚥下造影検査:造影剤を飲んで、嚥下状態を見る検査です。
⑤嚥下内視鏡検査:
鼻から細いカメラを挿入して、直接カメラで嚥下の時の喉の動きを見る検査です。嚥下した後、喉にどのくらい食べ物や唾液が残っているかも見ることができます。
【肺炎の検査】
①胸部レントゲン・CT:肺炎かどうか、肺炎の広がりなどを見る検査です。
②血液検査:白血球数やCRPといった炎症反応の程度を見ます。
③喀痰培養:痰の中の細菌を見る検査です。
■治療方法など
一般的に、抗菌薬での薬物療法が基本で、痰をやわらかくする去痰薬などか処方されることもあります。
嚥下を行いやすくするためのストレッチや口腔体操、歯磨きをはじめとした口腔ケアなどの日頃のケアが重要だと考えられています。
また、誤嚥のリスクが高い人は、食事のとき十分に上体を起こし、ゆっくりと咀嚼・嚥下することが大切だといわれています。
嚥下機能の低下の程度を考慮して食事の摂り方を工夫することも大切で、食べ物を細かく刻んだり水分にとろみをつけたりすることが有効な場合もあります。
■お勧め運動メニュー
※本記事はこちらの資料を参考に作成しています。