■原因
血管内にコレステロールがたまって、血管が狭くなるのが直接的な原因です。LDL(悪玉)コレステロールが高いと動脈硬化になりやすくなるといわれています。また、中性脂肪も影響することがわかっています。
三大危険因子として高血圧、高脂血症、喫煙があります。そのほかには、加齢、肥満、糖尿病、ストレスなどが危険因子になるといわれています。
危険因子があると、血管をしなやかに保つ一層の細胞(血管内皮)に傷ができます。それを治そうとして炎症が起こるとされています。こうした状態が続くと、血管が酸化ストレスを受けてしまいます。内皮細胞が傷ついた血管にはコレステロールがたまりやすく、動脈硬化が進んで、最終的に心筋梗塞を起こすと考えられています。
■主な症状
動脈硬化は初期症状がほとんどなく静かに進行していくため、「沈黙の病気」といわれています。
進行すると、血管が詰まり、血液が流れなくなって組織が壊死てしまいます。
心臓の血管で起これば心筋梗塞や狭心症、脳の血管で起これば脳梗塞、足の血管で起これば閉塞性動脈硬化症の原因になるといわれています。
動脈硬化の症状がまず現れるのは、脳・心臓・足の3か所だといわれています。また症状が現れた場合、一般的にかなり動脈硬化が進んでいる状態だと考えられています。
【脳の場合】
めまい、頭痛、耳鳴りが起こる、しゃべりにくい、手足がしびれ、力が入らない等の症状が起こる場合があります。
【心臓の場合】
階段の昇リ降りで動悸がする、急いだり重い荷物を持って歩くと息苦しくなる、疲れやすい等の症状が起こる場合があります。
【足の場合】
足が冷える、歩行時に太ももの裏側やふくらはぎに痛みを感じる、足をひきずる、安静時での痛み、軽い刺激でも傷になり、化膿して治りにくい等の症状が起こる場合があります。
■診断方法
以下の検査が心臓、脳、下肢の動脈硬化の程度を知る手がかりになるといわれています。
①心電図
②眼底検査
③上腕動脈と足関節上部で測定する血圧の比、脈拍の触れ方、左右差
何か症状がある場合には下記の検査をして危険因子の有無や動脈硬化の程度を診ることもあります。
日常の診療でも触診で動脈の硬さや、走行具合などチェックできます。
①血圧
②血液検査
総コレステロール値・HDL(善玉)コレステロール値・中性脂肪値・LDL(悪玉)コレステロール値・尿酸値・空腹時血糖など
③身長・体重・ウエストとヒップの周囲径の計測
④血管内エコー・MRI・血管内視鏡・造影など
■治療方法など
生活習慣を改善し、次のような危険因子をなくすのが最も効果的な治療方法といわれています。
そのため、高血圧や糖尿病、脂質異常症、禁煙や肥満を軽減することが大切です。
①バランスのとれた食事
動物性脂肪は悪玉コレステロールを増やす原因になるため、魚・野菜を中心にした献立にするのが大切だといわれています。塩分・カロリーの取り過ぎにも注意だといわれています。
②適度な運動
運動不足により、体力や全身持久力が低いと身体活動量も減少し、動脈硬化が進みやすくなるといわれています。
全身を使ったウォーキングや自転車こぎ、水泳などの有酸素運動が効果的だといわれています。
動脈硬化の程度や状態によっては、必要に応じて薬物療法を行うこともあります。薬物治療としては、コレステロールを低下させる薬が最も重要だといわれています。
また、血管が血栓により詰まるのを防ぐために、血液を固まりにくくする抗血栓療法が行われたり、高血圧を改善する血圧降下薬、血糖値を下げる経口血糖降下薬、血液の中の尿酸値が異常に高くなる高尿酸血症に対する治療薬などが使われることもあります。
■お勧め運動メニュー
※本記事はこちらの資料を参考に作成しています。