■原因
胃の粘膜がヘリコバクター・ピロリ菌に感染することが主な原因だと考えられています。最近では薬剤(非ステロイド性抗炎症薬)によって起きる薬剤性潰瘍も増えているといわれています。
ピロリ菌に感染すると、胃や十二指腸の粘膜に炎症を起こしたり、粘膜の表面を守っている粘液が減ることで粘膜が酸によって傷つきやすくなるため、そこから潰瘍ができるといわれています。
また、ピロリ菌に感染している人では喫煙やストレスにより潰瘍になりやすくなることがわかっています。
薬剤性潰瘍の原因となる非ステロイド性抗炎症薬も、粘膜を傷つけてしまう働きと、粘膜を保護する力を弱めてしまう働きがある為、潰瘍が起きやすい状態になるといわれています。
■主な症状
一般的に、以下のような症状が起こる場合があります。
①みぞおちの痛み
空腹時に起こることが多く、十二指腸潰瘍の場合は夜間に痛む場合が多いといわれています。
②胸やけ
とくに十二指腸潰瘍で起こることが多い症状だといわれています。
③吐血や下血
潰瘍が血管を傷つけることで、出血が起きると真っ黒なタール便が出ることがあります。また、出血があると、貧血になってしまうこともあります。
④穿孔
大砲の弾が腹腔内で破裂したような激烈な痛みがあり、胃や十二指腸に穴があくと、食物が腹腔内に漏れてしまうことがあります。これは腹膜炎を起こした状態なので緊急手術が必要になる場合があります。
⑤幽門狭窄
潰瘍により胃の幽門が狭くなると、食物の通過障害が起こることがあります。
■診断方法
一般的に、以下のような検査が行われています。
①バリウムによるX線検査(胃透視)
バリウムを飲み、胃の中に薄く広げて、胃の形や表面の凹凸をレントゲンで観察する検査です。
②胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)
直接胃の中を観察できるため、細部にわたって検査することができます。また、臓器内の組織を採取して組織検査を行うことができるため、X線検査よりも正確な検査ができると考えられています。
■治療方法など
【薬物療法】
胃酸の分泌を抑制する制酸薬やヒスタミンH2受容体拮抗薬やピロリ除菌治療薬(プロトンポンプ阻害薬や抗菌薬)などが使用されることがります。
また、胃や十二指腸の粘膜を保護するために、粘膜保護や組織修復促進薬、粘液産生・分泌促進作用薬などを使用する場合もあります。
【外科的治療】
薬物治療を行っても出血や強い症状が続く場合や穿孔を起こした場合には手術によって、腹部全体を洗浄し穴を塞ぐ手術を行うことがあります。
以前は開腹手術で行っていましたが、最近は腹腔鏡で行うことも可能になりました。
【日常生活で気を付けること】
症状を悪化させる要因には、ストレスや食事など日常の生活習慣が関係しているといわれています。ストレスを受け続けると自律神経の働きが乱れ、胃粘膜などの血流が悪化し、傷つきやすくなることがわかっています。
また、脂肪分の多い食事は、胃酸の分泌を活発にするため、やはり胃粘膜を弱らせる原因になります。
さらに、アルコール、香辛料の多い食べ物、コーヒーや紅茶などカフェインの多いものや煙草(ニコチン)も、胃酸の分泌を促進してしまうため、注意が必要だといわれています。
■お勧め運動メニュー
※本記事はこちらの資料を参考に作成しています。